初対面の相手を自分のファンにする七つの法則 作家 中谷彰宏
一、 | 受話器に対する表情で印象が決まる 電話の一声には、その人の本当の姿が出る。声は表情で決まる。どんな電話でも笑顔で出ること。 |
二、 | 名刺は「拳銃」だ 名刺はサラリーマンにとってはまさに拳銃だ。名刺交換の場合は、相手に先に出されたら負けだ。 |
三、 | 自己紹介はフルネームで名乗る つき合いはは、フルネームでになって初めて人間と人間の関係が深まるものだ。 |
四、 | 自己アピールする前に、相手との共通点を探す 初対面の相手との距離を縮めるには、自分との共通点を探すのが一番。 |
五、 | 雑談のネタは頭でなく、目で探す 話のネタに困ったら、とにかく周りを観察し、目に映るものすべて雑談の材料にすればいい。たとえば、相手のネクタイとか・・ |
六、 | 相手の話にしっかり耳を傾ける 第一印象を良くする最も簡単な方法は、相手の話をよく聞くこと、十のうち九を相手にしゃべらせることができれば成功だ。 |
七、 | 出会い頭の第一印象より、別れ際の第二印象 印象は、出会ったときより別れ際のほうが心に強く残る。別れ際を大事にする。 |
レーダー
「一つの閃きから世界へと飛躍」
オフィス用品として欠かせないカッターナイフは、切れ味の悪くなった刃先を折って最後まで使う方式になっている。これは、日本のオリジナル商品で、オルファ社が考案したものだ。
同社の創業者である岡田良男氏は戦前、大阪で紙の裁断業を家業として営んでいたものの、戦後の混乱期には様々な職を経験、その後、小さな印刷会社に就職した。当時の印刷所では紙を切るのにナイフやカミソリの刃を利用していたが、日本製のものはすぐに切れなくなってしまうため、経済的で使いやすいナイフができないものかと考えるようになった。
その頃、別の印刷所に勤める弟が相談にやってきた。やはり、同じ疑問を抱いていたようだった。その時、閃いた。昔の職人はガラスの破片でものを切っていたな。さらに、進駐軍にもらった板チョコは、溝があってポキッと折れることを思い出した。「ポキッポキッと折れるカミソリの刃は、どうだろう?」。彼は弟に案を披露した。「なるほど、それはいいアイデアだ」。
早速、試作品製作に取りかかった。試行錯誤を繰り返し、徹夜も幾度となく経験した。そうして昭和三十一年、様々な問題点を解決し、世界初の折り刃式のカッターナイフが完成した。
ところが、世間の反応は冷たかった。「何に使うんだい。カミソリの刃で十分だ」「そんな変な物を作っても、売れないよ」。
しかし、彼には執念にも似た思いがあった。戦災で家を失い、戦後も家業を再興できなかった父の無念を晴らしたかったこと、自らも職を転々とせざるをえなかったことから、カッターナイフこそが這い上がる道と捉えていたからだ。まず、実用新案を出願。併せて、岡田商会を設立し、全財産をはたいて町工場に製造を依頼した。が、手作りだったために、商品の完成度は低かった。再び、改良と商品の売り込みに没頭する日が続いた。
そんな苦労も、やがて実を結ぶことになる。良い評判が聞こえるようになり、併せて、売り上げも順調に伸びていった。そして四十一年、兄弟四人で岡田工業を設立。四十六年には本社ビルも完成した。以後は、積極的な宣伝や多彩な商品展開が奏効し、海外百か国以上に輸出するトップメーカーへと成長した。
道は険しかったが、一つの閃きから世界へと飛躍した好例だ。
ちなみに、社名とブランド名に使用されているオルファの由来は、「折る刃」を文字って「OLHA」、さらに海外ではHを発音しない国もあるために、「OLFA」となったそうだ。