鉄スクラップ急落
鉄スクラップが7月までにt当たり6.8万円~7.2万円で過去最高値を更新していましたが、北京オリンピックの8月以降じわじわと値を下げて、今月には一部1万円割れと3ヶ月で6万円の下落となりました。
1万円を割り込んだのは6年半ぶりのことであります。原因は韓国や中国の輸出の停滞と電炉メーカーの減産強化で内外とも需要低迷であるとみられます。 しばらくは小幅な値動きはあるものの先安感が続くと考えられます。 世界金融危機の影響を受けた中国の輸出が急減したことやウオン安で韓国経済が急激に冷え込んだことも大きな要因であります。
国内ではトヨタの自動車減産計画。電気やIT産業の輸出にも急ブレーキがかかった状態となっております。また、先進国の設備投資の減退に伴う産業機械や重機メーカーにも影響が出始めています。
また、空前の好況に沸いていた造船業界も9月度は通常月の2割しか注文が来ない状態となり、先行き不透明感が増してきました。土木・建築は相変わらずの不況の中でありますが、今は全産業が不況感を漂わせています。
この状況は今後1~2年は続くと思われます。すなわち鉄のスクラップも大幅な高値に戻ることは考えにくく当面は1万円前後で推移するでしょう。
では、鉄製品は今後どうなるのか? 急激な円高の進行によって、韓国や中国からの鉄製品が輸入攻勢をかけてくるでしょう。
それを見込んで東京製鐵(電炉メーカー)は9月の販価を1万下げて、更に11月販価はH形3.5万、ホットコイル2.5万下げました。12月には全製品を更に5000円下げると発表しました。いずれも輸入品に対抗することや予想外に需要が増えなかったことが大きな理由だと思われます。
東京製鐵の販価によって他の電炉メーカーも値を下げました。しかし、実際に市場価格はほとんど下がっていないのが現状です。鋼材需要の減退が予想に反して深刻化しているのと建設会社の買い控えによって、ヤード在庫製品がまったく売れていないし、減っていないのが現状です。様子見のこの状態は来春まで続くでしょう。