東海地区の建築需要
東海地区の建築需要が極端に冷え込んできた。昨年夏に回復基調に推移したものの、昨年秋のリーマンショック以来、今年に入ってからは坂道を転がり落ちるように需要が激減しており、11月以降も回復の道筋さえ見えない状態。需要そのものの落ち込みに加え、大手ユーザーの生産拠点の海外移転に伴う需要減も重なって、市場には暗い影が漂い始めている。岐阜県ではマンションの新設着工が昨年12月から10ヶ月連続0である。三重県でも3ヶ月に1棟のペースでしか着工案件がない状態。
国土交通省の9月の建築確認申請状況(1~3号)は、愛知県927件(前年同月比25.2%減)、三重県180件(同25.3%減)、岐阜県187件(同27.2%減)静岡県450件(同34.6%減)といずれも2割を越す減少となっている。
建築確認を取ってもプロジェクトそのものが延期する場合があるため、着工に結びつく件数は更に少なくなる可能性もある。政権交代による公共事業見直し議論などで、中断される案件も今後増える可能性もある。また、自動車の依存度が高い同地区では、自動車生産は回復しているものの設備投資の面では抑制傾向が続いている。「来春以降は工場の集約なども出てきそう」との見方もあり、目先に建築投資が活発化する状況にはなく逆に減少するのではとの見方もある。まだしばらく厳しい状況が続きそうだ。
《公共事業の見直し》
「公共事業をどこまで減らすのか。どこの国でも社会インフラの維持にはお金が要る。日本はもう社会整備をやる必要がないということなのか」6日の参院予算委員会に自民党の脇雅史がこう迫ったのに対し、前原国交大臣は「これからの公共投資は、維持管理を中心にやっていかなくてはならない」との認識を示した。前原大臣の説明によれば、新規の公共事業を全くやらないわけではない。だが、これまで空港や湾岸などのインフラを造りすぎた結果、集中的・重点的な整備ができずに国際競争力を失ったことが問題である。現在の社会経済状況を勘案すれば、事業の選択と集中を図らざるを得ないというのだ。公共事業投資やインフラの整備は現状の日本経済の疲弊解消と景気回復効果や雇用対策にも直結する重要な事業であり、よき選択とよき決断を願わずには要られない。