欧州諸国の財政悪化
ギリシアに端を発した欧州諸国の財政悪化の問題が、ハンガリーなどの欧州諸国に拡大しつつ、収まらない様相である。6月初旬、ハンガリー政府は、同国の財政状況が悪化していることを明らかにした。それをきっかけに金融市場は、「ブルガリアヤポーランドなどの欧州諸国の財政問題が顕在化する可能性がある」との見方が出ている。
同諸国への貸出金の多いフランスやドイツの金融機関の経営状況の悪化につながる懸念も浮上してくる。しばらくは、この諸国名問題から目が話せない。
財政状況が悪化しているのは、ギリシアやポルトガル、スペインなど、1昨年の9月のリーマン・ショック以降、世界経済は大きく落ち込んだ。それに対して多くの国は財政政策を総動員して景気刺激策を打った。その結果、財政に過大な負担がかかるようになった。財政状況の悪化は、わが国はじめギリシアなどの1部の国に限ったことではなく、世界的な現象である。
問題は、これらの欧州諸国は、経済基盤の弱く、財政悪化の負担に耐えきれなくなっていることだ。今後もこのような国がまだまだ発生する可能性が大きいということだ。すなわち、この問題の根は深いと考えるべきだ。
一般的に東欧州国の経済規模は大きくない。ハンガリーの財政状況が悪化しても、短期的に、それほど大きな問題にならなかったとおもわれる。
ところが現在、欧州の大手金融機関は、不動産バブル期に実行した、ギリシアやポルトガルなどの諸国向けの貸出金の扱いに頭を痛めている。それに加えて、ハンガリーなど東欧諸国向け債権にまで懸念が発生した。実際、フランスやドイツの大手金融機関はPIIGS諸国や中東欧州国にたいして多額の債権を保有している。
例えば、フランスの金融機関全体で、PIIGSに対して約81兆円、ハンガリーに対して1兆円の債権を持っている。それは決して小さな金額ではない。それらの債権の信用低下が本格化すると、国際金融市場で、欧州発の金融システム不安が発生することも考えられる。そのリスクは無視できない。
また、最近の円高傾向が、これらの影響によるものと考えられる。ここにきて輸出産業が上向いてきた日本経済にとっても、心配な種になりそうだ。