地域建設業 最大の課題「人手不足」
地域建設業が直面する経営上の最大の問題は人手不足。
公共工事前払金保証事業会社3社(北海道、東日本、西日本)が昨年12月に行った13年度第3回建設業景況調査でそうした現状が明らかになった。これまで経営上の問題点で上位を占めていた「競争激化」や「受注の減少」の割合が低下。代わって「人手不足」「下請の確保難」の割合が上昇した。市場縮小で就業者が減ったところに公共工事が増加。各社が人手の確保に苦労している現状がうかがえる。
3社が1月20日に発表した調査結果によると、地域建設会社2802社に調査票を送り、88.2%の2470社から回答を得て集計・分析した。
調査対象期間の13年10月~12月期の業況を示す「地元建設業界の景気」は、景況判断指数(BSI=「良い」が「悪い」よりどの程度多いかを示す指数)で9.5。前回(13年7~9月期)の2.5に比べ「良い」傾向が強まった。前回調査では、全国9地区のうちBSIがプラスだったのは北海道、東北、北陸、九州の4地域だけだったが、今回は他の地域5地域もプラスに転じ、全地域が「良い」傾向となった。
業況改善を特に裏付けるのが受注動向。受注総額のBSIは4.5と1992年7月~9月期以来のプラスに転換。官公庁工事が増加しているのに加え、民間工事も減少傾向が鈍化した。
経営上の問題点を聞いたところ(複数回答可)、「人手不足」が57.0%に上り、これまで最も多かった「競争激化」の44.7%を抜いてトップになった。人手不足が最大の課題に挙がったのは92年10~12月期以来。人手不足による労務費の高騰を背景に入札の不調・不落が頻発している状況を裏付けた。
受注の増加に対して資材調達が「困難」という傾向も強まっている。特に、「形鋼・厚板」「鋼矢板・鋼管」「棒鋼」といった鋼材に調達難の傾向が強い。
収益に関する質問でも、減収理由の2位に「資材価格の上昇」、4位に「下請け代金の上昇」が入った。労務・資材の調達難とそれに伴う価格高騰が収益の圧迫要因になっている様子がうかがえる。