動き出す建設業界政府は人材不足の対策を
今年2月時点での大手ゼネコン4社が発表した平成26年3月期の連結業績予想によると、営業利益は大林組と鹿島建設が減少、清水建設と大成建設は増加を予想している。4月―12月期をみると、公共事業や都心部の再開発事業の高まりで全社が増収を確保したが、工事需要が高まる一方でこれまでもささやかれてきた現場の人材不足が各社の悩みの種だ。
東北復興需要に加え安倍政権による国土強靭化などの経済政策、また6年後の東京五輪に向けた都心部の再開発事業にわく建設業界は、建築基準法改正やリーマンショックなど度重なる冬の時代からようやく抜ける気運が高まっている。建設関連の一部ボルトメーカーからも東京五輪までの6年間は底堅い受注が期待できるという声が上がっているほか、土木関連の需要の多いボルトメーカーは実際に仕事が忙しくなっている。こうしたかつてない好材料が並ぶ業界の影で問題となっているのが建設現場の人材不足だ。
長らく続いた冬の時代で、企業が新卒採用を抑制、学生も景気の良くない建設業界を避ける傾向に、さらに現場で働く職人が高齢化して、とくに団塊の世代が定年退職を迎えて事態は悪化した。現在、とくに型枠工をはじめ、とび工、左官が不足しているという。大手ゼネコンでは人材の確保を進めているが、労務費の上昇が会計を圧迫している要因となっている。
国の対策は外国人労働者の受け入れだ。4月4日に政府は、外国人の技能労働者の受け入れ期間を2年延長して5年とする時限措置を発表している。3年間の技能実習を修了した外国労働者には「特定活動」として追加の就労を認める。しかし6年後の東京五輪までの施設整備需要を見越しての緊急的な措置であり、若い国内の職人育成と確保という根本的な問題の解決につながらないので、「五輪後」に事態が悪化しないためにも抜本的な対策を講じてもらいたい。
東北の復興地では、都心部の再開発需要の高まりによって人や機械が復興地域から一斉に都心部へ引き始めているという声が上がっている。
これからが本腰を入れる時期となる復興地区の機運を下げたくない。