東京都内大型開発相次ぐ
14年度(14年4月~15年3月)に東京23区で公表された延べ床面積1万平方メートル以上の大規模建築物の建設計画は前年度比2件減の98件となった。件数は減少したものの、全体の総延べ床面積は402万1135平方メートルと前年度(344万7909平方メートル)を16.6%上回った。下半期(14年10月~15年3月)に入ってから、国家戦略特区の特定事業や東京五輪の関連施設など2020年までの竣工を目指した建設計画が相次ぎ、全体規模を押し上げた。今後1~2年は同様に着工を急ぐプロジェクトが増えるとみられ、都心部の建設需要は活況となりそうだ。
主な用途別に内訳をみると、共同住宅が43件、事務所が24件、その他教育施設が15件、医療施設が4件、倉庫が3件など。延べ床面積別では、1万~2万平方メートルが45件、2万~3万平方メートルが17件、3万~4万平方メートルが10件、10万平方メートル以上が9件、このほか、4万~10万平方メートルが16件。
超大型プロジェクトは「大手町2丁目地区第一種市街地再開発」(千代田区、総延べ35万5千平方メートル)、「西品川1丁目地区第一種市街地再開発」(品川区、総延べ22万190平方メートル)、「春日・後楽園駅前地区第一種市街地再開発」(文京区、総延べ17万9876平方メートルなど複数の市街地再開発事業が14年度末~15年当初に向け建設計画を固めた。また、2020年の東京五輪のメーン会場となる「新国立競技場(仮称)(新宿区、延べ21万9500平方メートル)、10月にも着工する見通し。その他、森トラストが計画する「虎ノ門4丁目プロジェクト」(港区、延べ21万平方メートル)が16年1月着工予定。今年の1月に着工した「新日比谷プロジェクト」(千代田区、延べ19万平方メートル)など・・・。
東京都内の開発事業着工ずれ込み相次ぐ
都内の大型プロジェクトので、建物の着工時期を遅らせる事例が目立ってきた。
ここ数年の労務費・資材費の高騰によって建設コストが急上昇した影響で、着工を目前にして施工会社と工事費の折り合いがつかなくなるケースが増えているようだ。
国土交通省の推計によると、東京では集合住宅(RC造)の建設コストが12年9月から1年間で5.3%、13年9月からの1年間で11.7%上昇した。デベロッパー関係者の間では、今年に入ってから上昇傾向は収まったが、今後も高止まりが続くとの見方が大勢を占めている。今後も着工時期のずれ込みや、設計の見直し、施工の変更等が予想される。