丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2015年7月号 -第297号-

地方創生

「地方創生」は安倍政権が政権の発足当初から掲げる重要な政策課題の一つである。しかし、具体的な方策がなかなか見えてこない。その結果は——-。

厚労省調べの平成26年度都道府県別「最低賃金」では、最高が東京都の888円に対し、最低は鳥取・高知・長崎・熊本・沖縄各県の677円。211円の差を週40時間労働の月収に換算すると最高14万2080円に対し最低10万8320円と3万3760円に及ぶ。

また毎日新聞(4月17日付)によると、2013年に住民の平均所得が最も多かった市町村は東京都港区の1266万7000円で、前年比40.5%増。一方、最も少なかった熊本県球磨郡球磨村は、前年より2万5000円増えたものの193万9000円にとどまる。しかも東京都港区との差は前年の4.7倍から6.5倍に拡大している。「賃上げや地域活性化への地道な努力より、資産所得、とくに株の保有・売買が所得の伸びを決めるのはアベノミクスの当然の帰結。トリクルダウン(富の滴り)が働いておらず、格差は広がる一方だ」と神野直彦・東京大学名誉教授は同紙で指摘する。ただ、「地方創生」は今に始まった話ではなく、江戸時代から大きなテーマだった。その中で地方再生に成功した一番の人物は二宮金次郎で、「彼こそ元祖再生人だった」と地方再生プランナーの木下斎氏が2月3日付「東洋経済」に寄稿している。木下氏によれば、江戸中期の日本は全国の人口が横ばいになり、後期に向かう頃には、飢饉の発生などで人口減少に悩む地域が出始めていた。とくに現在の北関東では220万人の人口が160万人まで減少。そうして疲弊する地方の再生に正面から取り組み、大きな成果を上げたのが下野の国桜町領(現真岡市)の二宮金次郎だった。二宮金次郎像が背負って町まで運んだ薪は、当時の重要な燃料。それを売って貯めた金を、彼は低利で貸して貧しい人々の生活を支えた。さらに彼は、経費を削りながら新たに稼ぐ術を人々に教え、得た利益もそのまま分配するのではなく基金として残しながら次の取組に投資する「分度」の考え方を、徹底的に教え広めた。

「中央から支援金をもらって、赤字事業ばかりしていては、何も解決されない。行政・企業・家計のすべてが(二宮金次郎にならい)自立するための知恵を自ら絞り出す努力をしなければ、地方創生は程遠い」(木下氏=要約)。