丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2015年11月号 -第301号-

安倍首相が掲げる“新3本の矢”

安倍首相が、2012年の就任時、第1ステージの政策運営として掲げたのは①大胆な金融政策 ②機動的な財政政策 ③投資意欲を喚起する成長戦略の「3本の矢」だった。

1本目の金融政策は、日銀の協力を得て円安、株高をそれなりに達成し、アベノミクスの基盤をとりあえず築くことはできた。しかし、2本目の財政政策は一時的で刺激に乏しかった結果、円安が輸出増へ、企業業績の拡大が設備投資の増加へ、雇用の増加が消費の拡大へという、当初目論んだような好循環には必ずしもつながらなかった。3本目の成長戦略も、成果が明確に実現しているとは言い難い。

そんな中、安倍首相は先ごろ第2のステージとして「新3本の矢」戦略を進めると発表した。1本目は、GDPを2020年まで600兆円(現行495兆円、これを達成するには年率3%成長させること=今年度は0.5%達成できるかどうかで、「経済優先」をアピールするための国民受けしそうな目標を打ち出したとみる。政権幹部)を目標とする。「希望を生みだす強い経済」。2本目は、出生率1.8%の実現を目指す「夢を紡ぐ子育て支援」。3本目は、介護のために職を離れなくてもよい「安心できる社会保障」。これらをもって「一億総活躍社会」の実現を目指すと謳い、今回の内閣改造では「一億総活躍大臣」まで新設した。前回新設された「地方創生大臣」(石破茂大臣留任)の進捗具合はいかに総括されたのだろう?

しかし、こうした安倍首相の新方針に対する評価は厳しい。掲げられた「新3本の矢」は「矢」と言うより「的(=目標)」であるし、その的を射抜くためにどんな「矢(=手段)」を準備しているのか、何ら具体的に触れられていない。「GDP600兆円なんて、とてもコミット(約束)出来る数値ではない」(経済同友会)と、応援団サイドの経済界が冷やかに突き放す所以だ。

 それに、である「一億総活躍社会」というネーミングにも違和感を否めない。「一億総××」と言えば戦中の「一億総火の玉」、戦後の「一億総懺悔」を思い浮かべる世代も多かろうし、50年代には評論家・大宅壮一による「一億総白痴化」、70年代には「一億総中流」の流行語もあった。むしろマイナスイメージが強い「一億総××」を、大臣の名に付けて平気な安倍さんの、独特と言えば独特な時代錯誤も不安の一つだ。

信用情報(レーダー)より