上期公共工事大幅減
15年度上期(4月~9月)の公共工事が各地で大幅に減少したことが、全国建設業協会(全建)の調査で明らかになった。公共工事前払金保証事業会社3社(東日本、西日本、北海道)の統計から算出した請負金額ベースの集計によると、国発注の工事が前年同期の水準を下回ったのは37都道府県。うち33府県は減少率が2桁に達した。都道府県、市町村の発注工事も減少した地域が多く、事業量の増加を求める地域建設会社の声がさらに大きくなりそうだ。
14年度は前年度の大型補正予算の繰り越し執行があったのに加え、景気対策に伴う当初予算の前倒し執行が行われていた。その結果、15年度上期は反動によって請負金額が減少した地域が多かった。
各地の状況を詳しく見ると、国発注工事の請負金額は、秋田、群馬、富山、三重、京都、和歌山、島根、岡山、広島、愛媛、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島で減少率が30%を超え、京都は50%、岡山、愛媛、長崎、宮崎は40%を上回る減少となった。
補正予算や前倒し執行の影響が14年度より小さいとみられる13年度と比較しても、国の公共事業が減少した地域は39道府県に上り、反動減による影響の大きさと同時に、「産業をこの先どうしていくべきか、政策が必要」(福井県建設業協会幹部)と地域格差の拡大を指摘する声が少なくない。
自治体発注工事のうち、都道府県発注工事の請負金額が減ったのは14年度同期比で36道県、13年同期比で31道府県。市町村発注工事の請負金額が減ったのは、14年度同期比で32道県、13年同期比で24道府県。
高速道路会社など政府系機関の大型工事の請負金額が計上され、東京や大阪のように全体ベースの請負金額が14、13年度同期比とも増加した地域はあるが、総じて見れば工事量は急減している状況にある。
全建が10月20日に、大津市内で開いた近畿ブロック会議では、各府県の建設業協会の幹部が15年度補正予算の早期編成、16年度公共工事費の当初予算ベースでの増額、受注機会の拡大を国土交通省に求めた。全建としても10月19日に石井啓一国交相に予算の増額を申し入れており、今後こうした活動が活発化しそうだ。