丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2016年1月号 -第303号-

中国GDPの減速、今後の動向に注意を

中国の第3四半期(平成27年7月~9月)のGDP(国内総生産)成長率が10月19日に発表されたが、前年度同四半期比で6.9%となり、2009年第1四半期以来の低水準を記録した。経済成長の勢いが鈍化していることがGDP指標の上でも明らかとなっている。 

直近で7%を下回ったのは、リーマンショックの影響を受けた2009年第1四半期の6.2%であり、今回は6年半ぶり。低水準がこの後も継続するならば、今年の目標値である成長率7%を年間で下回る恐れも出てくる。

中国政府はこれまでも成長率が下がる度に公式には強気姿勢を示し続け、減速は構造改革のための織り込み済みであり制御内にあるとしてきた。成長率よりも経済構造の内容を重視するという姿勢だ。今回も、目標値7%に対してさほど大きく下回っているわけではない、として強気姿勢を崩してないものの、ここのところの減速は政府の制御の範囲にはないとの見方が大勢を占めており、年末から来年に掛けて先行きが懸念される。

成長率をある程度落としてでも成し遂げなければならない項目として、これまでの経済構造の健全化・質の向上が掲げられてきた。景気の過熱による反動をあらかじめ防止し、不良債権の発生、信用不安を防ぐのが目的である。中国国内にはシャドーバンキングと言った政府が流通規模を把握しきれていない民間の金融取引も存在するため、リスクは多分に内在しているものと思われているからだ。

しかし、ここのところの経済成長率の鈍化を見ると、制御しているとしている政府自らが公共投資の増加や金利引き下げをはじめとした景気浮揚対策に取り組まざるを得ないまでに至っており、十分に政府の制御下にあるとは考えられない。生産・供給過剰の反動として、不動産市場の減速に端を発し各方面が鈍化傾向となり、投資・輸出の減少、自動車・鉄鋼関係の鈍化へと、この連鎖は今まさに続いているところだ。

中国は、政治的安定を維持するためには一定の成長率が求められるため、政策には実に高度なバランスが必要だ。成長率のみを追求すれば急激なバブル崩壊を招きかねず、かと言って構造改革のために成長を抑えつければ、これもまた成長率低迷を長期化させることとなりかねない。ただ今現在の現実の中国経済はどうかというと、このところの成長率低下は、今年に入っての景気浮揚策の途上で発生したものであるゆえ、構造改革による成長減なのではなく、政府の制御下にある事態ではない、という点が最も注目すべき、そして注意すべき問題なのだ。