自治体トップの皆さん、地元愛してますか?
都知事選で、小池百合子氏が当選した。自民党員でありながら公認でない半端な状態で、公認の増田寛也氏が出馬する“ねじれ”状態での選挙に臨み当選し、今後の党との距離感・関係性や施政方針の取り方は難しく、高い投票率と獲得票数から伺える支持層からの期待を裏切りかねない為にバランスが重要だ。
逆に党としては一枚岩でないことが露わになり、本命【公認】が落選し二番手(非公認の党員)が当選して、今後の処遇でペナルティも無く後追いで支援していけば、「党の方針を気にしなくても、手柄(当選)さえ立てれば」という風潮が生まれ、党員の独断専行を助長させかねない。
小池氏の方針としては、待機児童解消等の子育て支援をはじめ女性や社会的弱者を支援し活躍できるダイバーシティの構築で都民の生活を改善、ヒートアイランド化防止、クリーンエネルギー活用、災害・テロ対策等の環境・安全を重視。さらに都政の透明化・行政改革の推進と、クリア・クリーンなイメージを前面に押し出しているが為に、猪瀬直樹前都知事・舛添要一前都知事が辞任となった「政治とカネの問題」に対しての取り組みが気になるところだ。
都知事のお金の使い方の基準は一市民には分かりづらいが、「飛行機での移動はファーストクラス」については増田氏が岩手県知事だった頃にはファーストクラスを使用していたので決めづらいし、47都道府県それぞれの事情も異なる上、歴代知事と比較したところで時代ごとに財政状況も違う。たとえ本人が質素倹約を旨としても、都知事として威儀を正すために華美でなければならない場面もあるだろう。
ただ舛添前都知事を振り返ると、湯河原(神奈川県)の温泉に通う理由として「関節の療養に為」の内容で弁明し東京都内には温泉が無いような言い方で、23区内にも大田区の黒湯や湾岸地区・大手町でも温泉が汲み上げられるし、多摩などの東京都西部にもある。湯河原のお湯でなければならないならば、タンクローリーでお湯を運び東京都町田市やアクセスしやすい横浜市に店舗のある某入浴施設を利用すればよいと思わされた。
さらに東京都全世帯に分かり易く実用的な防災マニュアル「東京防災」を発行した功績がありながら、「東京で大地震が起こって都庁や新宿が瓦礫になっても、被害にあわずに無事ならば指示できる」旨で発言し、自分だけ安全地帯にいて、現場で足手まといになるだけかもしれなくても陣頭指揮を執る気がない事がうかがえ、少なくとも「東京への愛着が無い」事だけは分かった。都知事だけに限らず、都道府県・市町村でも自治体のトップには、自分の担当している地域(地元)を愛してもらいたい。
2016.08「時評」