新年がスタート「良き年を目指して」
新年が始まった。政治・経済の諸課題に取り組み、良き年を実現しよう。
政治ではさっそく今月末、新米国大統領が就任する。選挙期間中は孤立主義の演説を行っていたが、果たしてその通り米国一国平和主義へと内に籠ってしまうのか、それとも現実的に考え直して現政権の対外重視路線を踏襲するのかが注目されるところである。我が国としては、特に南シナ海や沖縄基地、朝鮮半島政策など、東アジア情勢の行方が安全保障に直結するものであるゆえ、米国の対外政策の行方には神経を尖らせておかねばならない所であり、時として積極的に意見を発信する必要が出てこよう。また、先般ロシアと共同声明を出した北方4島での両国交流の促進についても、今後打ち出されるその具体的な実施内容が、両国民間の信用の醸成に寄与する内容であることは確かに重要だが、しかし、これだけに留まってはならないのであって、返還交渉の進展に繋がるものでなければならない。
経済においては、幸い緩やかな経済成長の見通しだ。先に政府が発表した平成29年度の経済成長率予測では、実質成長率1.5%、名目成長率2.5%の見込みで、昨年7月時点での予測よりもそれぞれ0.3ポイントずつ上方修正しており、「緩やかな回復が続く」との予測であり、さらに第二次補正予算が景気を底上げするとしている。また日銀も景気判断を上方修正したうえで、引き続き2%の物価上昇率の実現に向けて、マイナス金利を含む大規模な金融緩和政策を維持していくとしており、徐々に緩和政策の効果が見られつつあるとしている。
確かに、我々の実感としても昨年から国内景気は個人消費と企業の設備投資の緩やかな増加が続いて現在に至っているといったところではなかろうか。成熟した工業国においては、新興国のような急速な経済成長というものは望めないだろうが、しかし、この緩やかな成長というものは決して悪くはない。むしろ、長期展望が立てやすい安定した環境であり、明るい経済見通しの範疇にあると言える。急激な好景気は崩壊後に低迷をもたらす危険性があることを経験で学んでいる。我々としては緩やかなプラス推移を良しとした上で、一社一社が地に足を着け堅実に社業をこなすことで着実に毎年の利益を積んでいこうではないか。
懸念材料は、米国の保護貿易主義化である。海外工場の国内への引き上げや関税率の引き上げは、一時的には米国内の雇用を改善させるかも知れないが、長期的には米国ばかりか世界規模の景気減速をもたらす。我が国としてはこれを防ぎ経済の安定を守り抜くため、関係各国と協力しながらグローバリズムの重要性について説得する必要がある。(時評より-2017.01)