野村克也の名言
戦後初の三冠王、監督としても活躍した野村克也さんが亡くなった。現在ヤンキースで活躍する田中将大投手は、プロ1年目に当時の楽天で野村監督の指導を受けたことについて「僕の野球人生の最大の幸運」とツイートした。また野球日本代表の稲葉篤紀監督は「1年目から社会人として、野球人として育ててくれた」とコメントした。
「念ずれば花開く」「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」等々、野村さんは数々の名言を残した。プロ野球の世界のみならず、仕事、人生に通ずる言葉も多く、実際にミーティングでは野球以外の話が多かったらしい。
野村さんがヤクルトの監督時代にチームのエースだった川崎憲次郎氏がかつて取材に答えていた。監督がミーティングでいつもホワイトボードいっぱいに書いて、それを選手がメモするのだが、「書いて消すのが早いんで」と振り返る。
中でも忘れられないのが『奇跡を起こす3つのポイント』という話。―――1、初めてのことを何かやってみる 2、知らない人に話しかけてみる 3、古いものにしがみつかない。
「奇跡」は、理論やデータで説明することが難解であるから「奇跡」なので、野村さんの掲げていた頭を使い、データを重視する「ID野球」とは相反するのではと思えるかもしれない。確かに野村さんは確実論も重視していたが、それ以上に今は何回か、走者がいるのか、点差はどうか、そしてカウントごとにおける投手やバッターの脳の状態、細かい心理を探ることに力を入れて説いていたのだ。
「3つのポイント」は格別難しいことではないが、「確かにその通りだ」と思わせるだけのロジックが含まれる。奇跡は、今の人間関係、今の生活からは生まれないということ。新しいことに挑戦し、新たな人間関係を築き、新たな価値観に触れ、新たな自分自身へと転換できてこそ、奇跡が起きる。
この名言も又、人生にも、ビジネスにもいえることだ。売上減少に悩む企業経営者が起死回生の奇跡を起こそうとした場合、既存事業・既存先にとらわれていは叶うはずがない。新たなことを始めれば、新たな出会いがあるし、新たな道が開けるだろう。
そのためにも「知らない人に話しかけてみる」が第一歩か。
野村さん亡くなったが、言葉は永遠に残る。心よりご冥福をお祈り致します。
<レーダーより>