底打ちから僅かに改善も 依然として厳しい状況
日本銀行が今月1日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス27と、6月に行った前回調査から7ポイント上がった。改善は2017年12月以来2年9カ月ぶりとなる。中小企業製造業でも6月調査から1ポイント増加のマイナス44となり、コロナ禍の底打ちからの緩やかな改善が読み取れる。ただし依然として水準は低く、リーマンショック後の低水準並みではある。
次に、日銀が今月8日に発表した地域経済報告(さくらレポート)では、各地域の景気の総括判断と前回との比較が行われた(カッコ内は7月の前回調査時との比較)。
▽北海道(改善)引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで持ち直しつつある ▽東北(改善)厳しい状態にあるが、持ち直しの動きがみられている ▽北陸(改善)下げ止まっているものの、厳しい状態にある ▽関東甲信越(改善)内外における新型コロナ感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで持ち直しつつある ▽東海(改善)厳しい状態が続く中でも、持ち直している ▽近畿(改善)依然として厳しい状態にあるが、足もとでは持ち直しの動きがみられる ▽中国(改善)厳しい状態が続いているものの、持ち直しの動きがみられている ▽四国(横ばい)弱い動きが続いている▽九州・沖縄(改善)持ち直しの動きがみられるものの、厳しい状態にある―。
需要に関しては、各地域で公共投資が高水準で推移している。設備投資は弱い動きか鈍化の傾向。個人消費は持ち直しがみられる。住宅投資は弱い動きか減少に。生産は各地で持ち直しの傾向。雇用・所得は弱い動きが続いている。
輸出・生産関連企業等からは以下の様な声が上がっている。
▽経済活動の再開に伴い内外の自動車販売が回復しており、協力会社への発注を増やし生産水準を引き上げている。先行きも増産を継続する計画▽中国は想定以上の回復となっているほか、欧米では経済活動再開に伴って在庫調整が相応に進捗している。▽これまで感染症の拡大に伴う需要減少から大幅な生産調整を続けてきたが、完成車メーカーの操業度引き上げを受けて自動車向けの鋼材需要が回復しており、このところ減産幅が縮小している
▽設備投資先送りの動きが拡がる中、海外を中心に建設機械の需要が低迷。当面の生産量はリーマンショック以来の低水準が続く見通し―。
10月26日時評より