丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2021年8月号 -第371号-

ウッドショック到来!木材価格急騰

 現在、木造住宅の構造的などに使用される輸入材の価格が高騰している。アメリカではテレワークの普及や新型コロナウイルス感染対策に伴い、都市部の集合住宅から郊外に移り住む動きが活発化し、住宅着工戸数が増加しているほか、巣ごもり需要でDIYが活況となるなど木材需要が高まっている。また、経済回復がはじまっているとされる中国でも木材需要が増加。さらに世界的なコンテナ不足による運送コストの増大に加え、3月に発生したスエズ運河での大型コンテナ船座礁事故の影響もあり、日本国内での輸入木材の不足感の高まり、価格の高騰が深刻になっている。

輸入材の代替として、国産材の引き合いが高まっており、価格も上昇している。一般財団法人日本木材総合情報センターによると、スギ材やヒノキ材の引き合いが強く、全体的に値上がりを続けている。また、製材工場はフル稼働状態となっており、人手不足感も急速に高まっているようだ。3月29日に日本集成材工業協同組合が発表した「構造用集成材の供給見通し等について」の中で、組合員各社とも原材料確保に努めていくが、5月以降においては2割以上の減産をせざるを得なくなるのではないかとの見方も出ていると伝えていた。同協同組合は構造用集成材の国内生産量の約8割を占めており、安定供給に向けて努めるとしているが、価格の大幅な引き上げを認めてもらわざるを得ないとの考えも示していた。

今回のウッドショックは回復を目指す日本経済にとって大きな懸念材料だ。㈱LIXIL(東証-名証1部)は2022年3月期の業績見通しとして、ウッドショックによる国内新築着工の回復遅れの可能性をあげている。ニチハ㈱(東証-名証1部)も2021年3月期決算短信にて、次期の見通しで年間新設住宅着工戸数が5%程度減少すると想定した。

現状、アメリカ材に関して原木価格の値上がりは緩やかだが、ワクチン普及に伴う工場生産の上昇により、原木消費の増加が予想されており、価格高騰の懸念がある。世界的にワクチン接種が進むなか、徐々に経済活動も回復するとみられるが、コンテナ不足の解消に時間を要する事態となると、ひっ迫感が強まる可能性もあるだろう。企業からは「木材の供給不足は、年内は続くのではないか」「6月分までは何とかなるが」との声も聞かれ、これから企業に与える影響がより顕在化してくるとみられる。

国土交通省は、5月17日に建築士会など、関係法人、団体に向けて業務対応の指針などを所属会員に周知するよう要請。木材の価格高騰や調達難によって、既に着工している物件で工期に影響が生じる可能性がある場合には、迅速に建築主に状況を説明すること、また、木造住宅の供給事業者で、資金繰りに窮している事業者は、日本政策金融公庫に相談する旨の周知を呼びかけている。