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卯は跳ねる≫

 卯年の相場格言は「卯は跳ねる」と縁起良い。日経平均株価の卯年の動向をみると、1975年は石油危機の影響、1987年は世界の株価暴落ブラックマンデーがあったが、年間騰落率はいずれも2ケタ上昇した。1999年はITバブルで36.8%の高騰。2011年こそ東日本大震災で落ち込んだが、過去半世紀はまずまず格言通りといえよう。だが、東京証券取引所、今年最初の取引となる4日の大発表会は全面安の展開となり、日経平均株価は昨年末に比べ377円安の2万5716円で終えた。「米国政策金利の引き上げ」「ウクライナ戦争の長期化」「エネルギー高騰」「日銀の金融緩和の修正」「物価高」等々、市場の不安リスクを色濃く映したようなスタートとなった。

 それでも、格言通りの一年といきたいものだが、何も変わらずして飛躍するというのも無理な話。「待ちぼうけ、待ちぼうけ。ある日、せっせと、野良かせぎ、そこへうさぎが飛んで出て、ころり、ころげた木のねっこ」。この有名な童謡は北原白秋作詞、山田耕作作曲で、中国故事成語『守株待兎(しゅしゅたいと)』を元にする。       

木の切り株に当たり死んだ兎を手に入れた農夫が、仕事をやめて毎日切り株を見守ったものの、ついに兎は捕れなかったという話から、いたずらに古い習慣を守っていても時に応じた対応ができないこと、進化のないことを教訓として込めている。        

この丸3年、コロナ禍という大きな社会変化が起こり、それ以前とは異なる世界が常態化しつつある。市場はインターネット上で商品やサービスを売買するEコマース(EC)がますます進んだ。ビジネスではテレワーク、オンライン商談、DXが進み、デジタルの活用が変革の第一歩となっている。このようななか、デジタルを活用しない旧型の商売はますます通じにくくなるのは見えている。

ミクロな話になるが、たとえば伝統産業のきものや帯の生産にデジタルを一層取り入れるべきと言っているのではない。その伝統的でアナログな工程を次代につなぐためには、第一に商品が売れなければならない。そのためにデジタルで情報を発信し消費者と繋がり、デジタル市場に対応して、総じてデジタル活用を推進しなくてはならない。

経済では不安リスクが露呈し、不確実性の高い一年が始まった。それでもデジタル社会がより進むのは確実視される。切り株を見守るだけの待ちぼうけの農夫とならず、時代の変化に対応し、卯は跳ねる一年にしたいものだ。

〈レーダーより〉