若者言葉
日本語の乱れに「ら抜き言葉」がある。例えば「見れる」「食べれる」。見るは、上一段活用の動詞で、可能を表す場合は「見られる」となる。食べるは下一段活用動詞のため「食べられる」が正解となる。五段活用の飛ぶは「飛べる」、走るは「走れる」と、ら抜きでいい。では「とてもきれい」はどうか。「とても」は、本来「とてもできない」というように否定で用いられるものだったが、今では普通に肯定で使われている。時代とともに、ら抜き言葉も当たり前になるかもしれない。
「消毒」「除菌」「殺菌」「滅菌」「抗菌」など似たような言葉がある。細菌を殺し、無力化するのが消毒。除菌はいろんな洗剤表示で見かけるが、細菌を対象物から取り除くことである。消毒は薬機法により医薬品や医薬部外品などに使う言葉で、除菌は逆に医薬品や医薬部外品には使用できない。菌を殺す殺菌も薬機法で規制されている。滅菌も菌を死滅させるが、消毒よりも強力である。抗菌は菌の繁殖を抑制することで、肌着や靴下に加工されている。―――というようになかなか使い分けが難しい。
災害用語もまぎらわしいものがあって、例えば「避難勧告」と「避難指示」。ややこしいため、2021年の災害対策基本法改正で、避難指示に一本化された。「垂直避難」は、水平の避難ができないときに、上階へと移動すること。「緊急安全確保」は災害が目前に迫り、避難所への移動も困難なため、上階や堅固な建物など少しでも安全な場所に逃げることだ。
若者の間では、常に新しい言葉が生み出されている。「就活」は一般用語になったが、「恋活」(れんかつ=恋愛活動)は、まだ流行っていないようだ。「カノぼ」「カレぼ」はどうか。彼女募集中、彼氏募集中の略語だが、「コクる」(告白する)ほど一般的ではない。「こそアド」と聞くと、これ、それといった指示語を浮かべるが、こっそりメールアドレスを交換することを意味する。ちなみに「圏外」は恋愛対象外であることを指す。
以前『電車男』という恋愛小説があったが、「タメ男」とは先輩や上司にタメ口をきく男のこと。この○○男は数多い。「シケ男」(座を白けさせる男)、「ペラ男」(おしゃべり男)、「バリ男」(でしゃばり男)、「ムカ男」(無駄にかっこいい男)、「ムシ男」(無駄に渋い男)、「つけ男」(やたらかっこつける男)。いそうである。
(レーダーより)