丸セパ 即納 共栄製作所株式会社のホーム > 共栄ニュース > 共栄ニュース 2024年12月号 -第410号-

21世紀のジャポニスム

 ジャポニスムとは、19世紀後半に欧州で流行った日本趣味のことである。「JAPONISME」という単語がフランスの辞書に最初に載ったのは1876年のようだ。         

歌川広重の『名所江戸百景』をゴッホが模写し、日本の浮世絵師の版画はモネやドガ、ロートレックにも影響を与えた。当時の日本の工芸品なども装飾や商業芸術としてアール・ヌーボー、アール・デコのデザインに影響を与え、やがて逆輸入の形で大正ロマンに結び付いたといわれる。

ジャポニスムはアニメやキャラクターなど世界に広がる現代のカワイイ文化の源流ともいえる。「くまモン」は、熊本県のご当地キャラクターとして大きな商業活動に発展した。観光だけでなく関連商品はブランドビジネスになっている。この成功を見て全国にゆるキャラが誕生し、2011年から「ゆるキャラグランプリ」が開催されている。東京には「キャベッツさん」「若」、大阪には「むびお」「ゆるナキン」などが誕生し、こうした各地の二頭身キャラクターが地元経済を支援する。      

“カワイイ”ぬいぐるみは、クレーンゲーム機と結びついて繁華街にあふれている。キティちゃん、アンパンマン、ポケモンはいまなお人気があり、盛況なコミックマーケットも、グローバルに広がっていった。

そもそも日本の「カワイイ」はどこからきたのか。古語の「うつくし」には、「きれい」だけでなく、「かわいい、愛らしい」の意味がある。清少納言の『枕草子』は、「うつくしきもの」として「瓜にかきたるちごの顔、すずめの子の、ねず鳴きするに踊り来る」を挙げていた。瓜に書いてある幼児の顔、ねずみの鳴きまねをすると、すずめの子が飛び跳ねてやってくる様子である。他にも2、3歳くらいのはって来る子供、首をかしげる子供など、小さいものはかわいらしいと述べている。かわいいに「そう」を付けると、「かわいそう」になる。また、不良がからみ「かわいがってやれ」と言われれば、逃げたくなる。

アイドルたちも、カワイイ文化の一端を担う。もはやカワイイは日常の中で産業化しており、英語圏でも「kawaii(かわいい)」という言葉が広がっている。こうした日本独特のコンテンツが、地域を活性化し、グローバル市場を開拓するのなら、カワイイ文化により磨きをかけていくことが、21世紀のジャポニスムになるのかもしれない。

                        <レーダーより>